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拠点の概要 - 解決すべき課題と戦略

本拠点の解決すべき課題と戦略

セルロース系バイオマスは、鉄筋コンクリートの様な強固な構造を持つ(セルロースは鉄筋に、リグニンはコンクリートに例えられる)と言われる様に、極めて分解し難い特性を持つことが、その利活用を阻んでいます。バイオプロダクションでは、この様な難分解性のセルロース系バイオマスを原料として、高効率かつ省エネルギー的に多様な目的化合物を生産することが求められ、大きなイノベーションが必要です。

1つ目の課題は、バイオマスから製品にいたるプロセス全体の効率が低く、かつエネルギーを多く消費することです。バイオマスが難分解性で複雑な組成を持つことから、現状のプロセスは多数の工程からなる複雑なものとなっており、石油リファイナリーとコスト的に対抗できておらず、大規模に実用化された例はありません。そこで本拠点では、原料に適した新規バイオマス資源を用いるとともに、革新的な微生物細胞工場を開発して、大幅なプロセス簡略化による低コスト化と省エネルギー化を可能とする、革新的な「一貫バイオプロセス」を創出するプロセスイノベーションを起こします。

2つ目の課題は、微生物が本来発酵生産できる化合物の種類が極めて少ないことです。そこで本拠点では、次世代バイオ燃料、生産量が莫大でインパクトの大きい既存化学品、新規なバイオプラスチックやバイオファインケミカルを選定し、これらを生産できるスーパー微生物(細胞工場)を創出することで、バイオベース製品に転換します。原料をバイオマスに転換することは、カーボンニュートラルという新たな特性を持たせることができるため、強い競争力を持つプロダクトイノベーションと言えます。さらに、新規で、既存品より高機能なバイオベース製品の実用化ができれば、真のプロダクトイノベーションとして大きなインパクトとなります。

本拠点では、プロセス全体の効率を劇的に上げる<プロセスイノベーション>を達成してセルロース系バイオマスからの物質生産を実現するとともに、それをベースに新規な化合物群をバイオマスから生産する<プロダクトイノベーション>に展開することを目指します。

バイオプロダクションを実現するプロセスイノベーション

現状プロセスの問題を抜本的に解決してプロセスイノベーションを達成するために重要な開発課題は、

  • (1) 易分解性で糖の収率が高いバイオマスを増産し、
  • (2) 環境適合型かつ低コストな前処理を行い、
  • (3) 前処理バイオマスを直接に高収率発酵可能な細胞工場を用いて目的物質へと変換し、
  • (4) 膜分離などの高効率かつ省エネルギーな手法で目的物質を分離すること

です。本拠点では、これら各工程で問題となる、相互に深く関連する様々な課題を統合して解決することを目指します。特に神戸大学の強みである細胞工場技術でバイオマスを直接利用できるスーパー微生物が開発されれば、前処理工程が大幅に簡略化されるとともに酵素添加が不要となり、プロセス全体が劇的に省エネルギー化、低コスト化できます。さらに、易分解性で糖の収率が高いバイオマスが開発できれば、プロセスへの負荷が軽減されるとともに生産性の向上が見込まれます。

プロダクトイノベーションの実現

プロダクトイノベーションを実現するための拠点の戦略は、革新的な「細胞工場」の創製を中心とするバイオ技術と化学技術の融合です。革新的な新機能材料や機能性分子の創出には、化学変換等で最終的に高機能化でき、かつ微生物で効率良く生産できる合成原料を選定して開発を進めることが重要であり、バイオと化学の融合研究を行う開発体制を築いています。微生物の代謝機能を自在に改良し、目的とする化合物を大量に生産する「細胞工場」技術において、神戸大学は世界をリードする成果をあげています。これをさらに発展させるため、ゲノム改変技術、代謝解析技術、代謝シミュレーション技術、転写因子やトランスポーター等のエンジニアリング等の先進的技術を統合した「合成生物工学」技術を確立し、革新的な「細胞工場」を創出することを目指します。あわせて、発酵生産される合成原料からの最終製品の高効率合成可能な新規化学プロセスの開発を進めていきます。

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