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本リサーチエンジンでは、独自のコア技術である「細胞表層工学(微生物にバイオマス分解能力を付与する)」と、「合成生物工学(細胞の“ものづくり”代謝を画期的に強化する)」を用いて、前処理で液化したバイオマスから様々なターゲット化合物を直接、高効率に生産する「細胞工場」をテーラーメイドに創製する技術を確立します。また、その基盤となるシステムズバイオロジー研究を発展させます。実際に、多様なバイオプロダクションに用いる高機能化微生物を創製することで、新たなイノベーションにつなげることを目指します。
微生物の細胞表層には多くのタンパク質が局在化しています。細胞表層工学とは、細胞表層局在タンパク質の一部をアンカーとして用い、目的タンパク質と遺伝子レベルで融合して発現させることで、目的タンパク質を細胞表層に集積させる技術です。発酵生産性に優れた微生物自らが、バイオマス分解酵素を生産して細胞表層に集積することにより、細胞表層でバイオマス資源を分解し、分解産物である多様な糖を細胞内に取り込んで、有用なプロダクトを発酵により一気に生産することができます。したがって、前処理バイオマスから目的物質を直接生産できるようになり、低コストかつ競争力の強い物質生産プロセスを創製できます。この技術を用いて酵母、コリネ菌、麹菌、放線菌、大腸菌、乳酸菌など有用物質生産に優れた微生物にバイオマス分解能力を付与し、バイオマスを資化して直接有用物質を生産可能な微生物(細胞工場)を創製します。
バイオプロダクションのための細胞工場創製において、微生物代謝を飛躍的に向上させるには、これまでの試行錯誤の方法論から、微生物代謝経路の挙動の理解に基づく合理的な方法論へ転換する必要があります。近年飛躍的に発達したシステムズバイオロジー、合成生物学、代謝工学を活用して、微生物の代謝解析、遺伝子の強化や破壊、新たな代謝経路導入を大規模に行ないます。微生物の細胞内代謝は遺伝子レベル,タンパク質レベル,代謝物質レベルで厳密に制御されているため、細胞の“ものづくり”代謝を画期的に強化して目的物質を大量に生産するためには、これらの生体内分子の挙動をシステムとして理解し、工学的に最適化する必要があります。本拠点では、これを合成生物工学として展開してきています。
具体的には、以下の1から5のステップからなるサイクルを回すことにより,微生物をより優れた細胞工場に進化させていくことができます。
この基盤技術を活用して、展開企業と協働で様々なターゲット化合物を高効率に生産する細胞工場をテーラーメードで創製します。