研究概要
生体膜は脂質と膜タンパク質・糖鎖など多様な分子が集合して形成される超分子系であり、情報伝達、エネルギー変換など生命に重要な機能を司っています。しかし、膜内における分子分布や複合体形成が機能に本質的に重要でありながら、解析が困難であり充分には理解されていません。
神戸大学では固体基板表面に生体膜を微細加工技術で集積化して再現する「パターン化人工生体膜」という世界的にもユニークな技術が開発されてきました。また、「膜の形状制御に関わるタンパク質」や「脂質により活性化されるプロテインキナーゼC(PKC)」の研究など、生体膜に関して世界の最先端を走る研究実績を有します。
研究拠点形成事業では、これらの独自技術を集結してこれまでに築かれてきた海外機関(カリフォルニア大学サンディエゴ校(米国)、ジーゲン大学(ドイツ)、リーズ大学(英国))との連携を深化、発展させることで国際研究ネットワークを構築し、生体膜の分子機構を理解・応用する異分野融合国際研究拠点を形成します。生体膜の構造と機能を人工的に「再構成・造形・調節」することで、生体膜の基礎科学だけでなく医療・地球温暖化・食糧供給などグローバルで喫緊の課題に貢献する新しい技術体系を開発します。

本拠点の取り組み
本拠点では、先端成果を生む実質的な共同研究、セミナー、研究者交流を強力に推進することで、持続的な交流・若手研究者育成の基盤を形成します。
育成のために、以下の具体的な取り組みを実施します。
- インターンシップ:大学院生、ポスドク、若手教員を海外拠点に長期派遣し、専門知識、実験手技とともに、国際的な視野・感覚、対話力を涵養します
- 研究ミキサー:日本と海外の若手研究者が主体的、継続的に主催するセミナー、ディスカッションを通じて相互理解を深め、異分野融合研究プロジェクトを新規共同研究として提案します。
- 国際セミナー:国内および海外の拠点において相互に研究者を招聘し、研究ネットワークを強化します。
- 国際合同シンポジウム:拠点機関・参加機関が参加する国際合同シンポジウムを開催します。

