HSCN - ひょうごサイエンス・クロスオーバーネット

クロスネットは、誰もが科学や科学者を身近な存在として感じ、科学の成果や知識を楽しんでいただける新しいコミュニケーションの場です。

クロスネットについて

現在、「持続可能な発展」(Sustainable Development)は人類社会の重要な課題として広く認識されています。そこには、地球や身近な自然環境の調和ある(エコロジカル)システムとしての理解、生物をはじめとした多様性の持つ価値の認識などの自然観や、社会的意思決定や課題解決への地域の人々の主体的参画、既存の価値観やライフスタイルへの省察などが含まれます。科学と社会の関係の在り方を考える上でも、持続可能性を視野に入れたビジョンを描くことが重要であるといえます。

こうした観点から科学と市民の関係を考えるとき、市民は科学技術情報の単なる受け手ではなく、自らが自然認識や課題解決の手段として主体的に「科学」の知識、考え方、方法などを利用し、また文化としての科学を、成果としての知識や行為としての科学(調査や研究)も含めて味わうといった関わり方の大きな意義が認識されます。

その際、「科学」という営みや「科学者」の在り方に関する省察も求められるでしょう。近年、若い世代を中心として科学技術への関心の低下が問題となっていますが、その背景には「科学」や「科学者」の在り方も一因となっていると考えられます。

兵庫県は豊かな自然に恵まれるとともに六甲山系の森林や豊岡のコウノトリに象徴される自然環境の保全・再生の取組の蓄積があります。一方、南部地域を中心として、高度な科学技術を背景とした産業があり、それを担う人々が生活しています。また、政令指定都市である神戸は港町として発展した歴史を持ち、新しい文化を受容・吸収してきた精神的風土があります。

これらを背景として、近年、自治体、大学、博物館・科学館、市民グループなど、さまざまな組織や人々により、科学を伝える取り組みや科学に関わる活動が活発に芽生え発展してきました。ひょうごサイエンス・クロスオーバーネット(クロスネット)は、これらの個々の活動をネットワークでつなぎ、人と人、人と組織、組織と組織の、新しい対話と連携を生み出すことで、地域社会の科学技術理解促進活動や、市民の科学活動の持続的・安定的な発展・展開を図ります。「クロスオーバー」は、多様な主体が有機的につながり、相互作用しながら新たな連携が生み出されるダイナミックな性格を意味します。この取り組みを通じて「サイエンスコミュニティ」(研究者と市民の双方向コミュニケーションが行われ、サイエンスが日常の生活に根づいた地域コミュニティ)の醸成を目指します。