正常細胞と病的細胞の光散乱・揺らぎ4次元解析:散乱透視学と医学の融合


出沢 真理  東北大学医学系研究科 教授


研究協力者
若尾 昌平  東北大学医学系研究科 講師
黒田 康勝  東北大学医学系研究科 助教
串田 良祐  東北大学医学系研究科 助教

正常細胞や幹細胞、疾患由来細胞やガン細胞は、未分化性を持つ幹細胞は各々の物理的な特性を持つことが予想される。我々はこれらの細胞における光の散乱・揺らぎの4次元(3次元+時間)解析を行い、「細胞」のあり方に新しい視点をもたらしたいと考えている。1)正常細胞と疾患由来細胞、2)正常細胞とガン細胞、3)未分化細胞と分化細胞、4)様々な幹細胞、の4つのカテゴリーにおいて比較解析し、細胞の様々の状態・病態によって、光散乱・揺らぎにどのような違いが生じるかを調べる。1)ではヒト皮膚由来線維芽細胞を用いて健常人とDNA修復遺伝子変異疾患との差を、2)ではヒト子宮頸ガンや脳腫瘍等を、3)ではマウス受精後の早期発生段階と成体由来の分化した肝臓や神経細胞等を、4)では生体由来のMuse細胞やiPS細胞を用い、光や蛍光の位相・散乱やラマン散乱における細胞計測を行う。さらに細胞膜脂質構成、細胞内代謝、遺伝子発現解析、細胞外へのセンサーであるprimary ciliaの活動、等の結果と併せて解析し、「細胞光工学」”cell photonics”への開拓につなげたい。