大視野3次元蛍光イメージング法の開発


市村 垂生  大阪大学 特任准教授


近年の多細胞システムの理解を目的とする研究では、システム全体の動作と個々の細胞の動作を同時に捉えるために、光学イメージングの大視野化が重要な技術の一つとなっている。しかし、従来の生物顕微鏡はレンズの性能、筐体の構造、イメージセンサーの画素数などの制限により、必ずしもその需要に応えられていなかった。この需要に応えるために、これまでセンチメーターを越える視野全域を1細胞分解能で観察できるイメージング系AMATERASを開発してきた。この性能をさらに高め応用を展開するために、本研究では、個体や組織などの散乱体内部を細胞観察可能な三次元分解能を有する大視野蛍光イメージングの新規基盤技術を開発する。低倍結像系のために独自設計した共焦点光学系と、新規開発した画像解析法を既存のイメージング系に付加することにより、三次元組織内での細胞観察を実現することを目指す。組織やオルガノイドの発生研究およびマウス全脳イメージングに応用することで、本手法の有効性を実証したい。