粒子懸濁液の散乱透視:特異挙動の理解と計測手法基礎の確立


桂木 洋光   大阪大学 教授


研究協力者
山本 憲  大阪大学 助教
桂 誠  大阪大学 助教

 片栗粉等の濃厚懸濁液を素早く握ると一時的に掌の中で小石のように固まるが,すぐに緩和流動して指の間から流れ落ちる.このような固体粒子濃厚懸濁液の複雑流動物性は,身近なスケールで簡単に観察されるにもかかわらず,懸濁液内部の粒子状態観測が困難であるため,未だその発生機構については未解明である.そこで,本研究ではRIM(屈折率マッチング),OCT(光干渉断層像)などの光学的透視手法を用い,複雑流動物性を示す懸濁液の内部構造観察に挑戦する.具体的現象としては,衝突・振動に対する固体粒子濃厚懸濁液の応答に注目し,懸濁液内部の可視化された粒子配置構造の外乱による変動と懸濁液全体のバルク力学特性との関係性に実験計測結果に基づいて迫る.固体粒子濃厚懸濁液の複雑流動挙動解明に多角的計測手法を用いてアプローチすることで,光の散乱状態と粒子可視化程度の関係についても明らかにし,懸濁液中の粒子可視化技術の基礎確立への貢献も目指す.