すばる望遠鏡での大気揺らぎ高度分布の統計的測定とその振る舞いの解明


秋山 正幸 東北大学 理学研究科 教授


研究協力者
大金 原 東北大学 理学研究科 大学院生
大野 良人 国立天文台 ハワイ観測所 助教

地上の大型望遠鏡による高解像度の天体観測を実現する上で、複数のレーザーガイド星での大気揺らぎ測定とトモグラフィー推定法を組み合わせたレーザートモグラフィー補償光学は重要な手法である。測定方向が数十秒角とほぼ同じ方向で数本と限られている大気揺らぎのトモグラフィー推定の精度は、推定の事前情報となる大気揺らぎ高度分布の精度や高度方向の分解能が鍵を握る。本研究ではすばる望遠鏡ドーム内にシャックハルトマン波面センサーを2台搭載した小型望遠鏡を設置してデータ取得し、シンチレーション情報を用いて高高度の揺らぎを測定できる独自手法であるSH-MASS法と2台の波面センサーの空間相関を取り低高度で高い分解能を実現するSLODAR法による解析を行い、広い高度範囲の大気揺らぎ高度分布を高い高度分解能で常時取得する。得られた大気揺らぎ高度分布の統計的な情報に対して、マウナケア山頂域で常時取得されている周辺の環境変数との相関を調べることで、地表層を含む大気揺らぎの統計的振る舞いを理解することを目指す。