光波面の揺らぎを取り除き、その背後にある物体を「透視」するためには、いかに高い精度で揺らぎを測定・補正できるかが鍵となる。本研究課題では、さまざまな分野への応用展開を視野に入れ、極限精度での光波面揺らぎ補正を目指した技術開発を推進する。揺らぎ補正技術として例えば我々は、「誤差拡散揺らぎ補正法」を独自に提案している。この方法は、滑らかな画像をドットで表現するハーフトーン処理を応用することで、補正精度の粗いデバイスでも大局的に滑らかに補正することを目指す技術である。
極限揺らぎ補正技術の応用として、系外惑星(太陽以外の恒星がもつ惑星)観測を検討している。これは、明るい恒星からの揺らいだ光波面を高い精度で補正することで、周囲の微弱な惑星を検出する方法である(図参照)。このような技術により、究極的に生命を宿す「第二の地球」発見も期待される。
その他にも、開発する揺らぎ補正技術を汎用波面センサーなどに導入し、初期揺らぎを低減してセンシング精度を向上させることで、光学デバイス評価や医療診断など多岐にわたる分野への応用展開ができると期待している。