Deep Priorを用いた教師無し深層学習による脳内電流源推定


滝口 哲也 神戸大学都市安全研究センター 教授


研究協力者
矢野 肇 神戸大学大学院システム情報学研究科 大学院生

本研究の目的は,頭の外側のセンサで非侵襲に測定したノイズを含む観測信号から,脳内の活動を予測する逆問題を解くことである.この問題は脳内の散乱現象の透視化に関係しているといえる.活動源の推定は,人間の複雑な認知機能に関わる脳の領域の発見や,脳疾患や精神疾患によって変化した部分の発見に応用されることが期待される.本研究ではノイズを含む脳活動の逆問題の解法として,Deep Priorを用いた機械学習に基づく手法を提案する.脳内の電流源は局所的広がりを持って分布していると考えられ,Deep Priorにおける畳み込み構造は電流源のパラメータの局所的な広がりを表現することが期待される.機械学習を用いない従来手法では電流源の事前分布を決めておく必要があり,かつセンサで一回のみ観測された信号ではノイズレベルが大きいため,電流源の推定精度に影響を与えることがある.本研究では,Deep Priorを用いた教師データ不要のニューラルネットワークを提案し,ノイズ重畳脳信号からの脳内電流源推定の実現を目指す.