高機能光源を用いた散乱制御による光断層計測/顕微鏡の高侵達・高解像化


西澤 典彦 名古屋大学工学研究科 教授


研究協力者
北島 将太朗 名古屋大学工学研究科 助教

 光コヒーレンストモグラフィー(Optical Coherence Tomography, 通称OCT)は,μmの分解能で生体などの被測定対象の内部構造を非接触・非破壊で測定する技術であり,医療を中心に,広い分野で注目を集めている.OCTイメージングにおいて解像度の向上を妨げる要因の一つが,多重散乱光同士の干渉によって現れる,「スペックル雑音」である.また,高侵達化を妨げる主要因の一つは,生体組織中の「散乱」である.
 本研究の目的は,高機能な超短パルス光源技術を駆使して高分解能OCT/OCMにおける散乱現象を制御し,イメージングの高解像化・高侵達化を実現することにある.まず,申請者が開発した生体の第IIIの窓における高出力広帯域光源や,電子制御型の波長可変超短パルス光源による擬似的なSC光,そして動的な散乱素子を用いて,スペックルを低減した高解像OCT/OCMイメージング技術を開発する.また,細胞内部観察が可能な高い分解能が得られる生体の第Iの窓におけるOCT/OCMにおいてスペックル低減技術を適用し,高解像・高分解能なイメージングを実現すると共に,散乱現象の波長依存性を解析し,散乱と透視の科学に貢献する.