白色顕微動的光散乱法による不均一物質の揺らぎの可視化


廣井 卓思 物質・材料研究機構 若手国際研究センター・ICYS研究員


ゲル、ゴムや生細胞といった物質は、ナノメートルからミリメートルスケールに至る階層構造において濃度の空間不均一性を有することが知られている。その中で、サブマイクロメートルスケールに存在する空間不均一性は、物性や生体機能に直接関与することが示唆されている重要な概念であるにもかかわらず、適切な計測手法がないために可視化されてこなかった。この可視化を実現するためには、光の回折限界において、濃度の空間不均一性に起因する高分子の揺らぎをマイクロ秒オーダーで捉える技術が必要となる。本研究では、動的光散乱法の原理を利用し、サブマイクロメートルスケールで不均一物質の複雑な濃度揺らぎを時空間マッピングする手法を確立する。そのために、白色レーザー光と顕微鏡を組み合わせて動的光散乱を測定する、白色顕微動的光散乱装置を開発する。さらに、開発した装置を用いた不均一物質の測定により、高分子物性や相分離生物学といった分野への応用可能性を示す。