蛍光コントラストを用いた内視鏡下3D腫瘍イメージング


西村 隆宏 大阪大学大学院工学研究科 助教


研究協力者
今西 ひなの 大阪大学大学院工学研究科 大学院生
下条 裕 大阪大学大学院工学研究科 大学院生

 内視鏡手術による低侵襲癌治療の普及が期待される一方で,腫瘍組織の形状や深達深さを根拠にした適応症例の絞り込みに課題がある.腫瘍組織を高感度に検出可能な蛍光内視鏡が臨床応用されているが,適応診断に必要となるサブmmの空間分解能を達成する内視鏡技術は現在存在しない.本研究では,リアリティの高い蛍光像データセット生成と深層学習モデルの構築により,組織内光伝搬の波長依存性により生じる蛍光コントラストを用いた内視鏡下の3D腫瘍イメージングを実現する.異なる励起波長による同一対象の蛍光像のコントラストには,波長による光深達長の違いから3D情報が含まれる.生体組織構造のフラクタル性に着目した微視的な光伝搬計算を導入して,忠実に再現された蛍光像コントラストのデータセットを生成し,腫瘍組織の3D構造を復元する深層学習モデルを検証する.さらに,内視鏡プロトタイプシステムを作製して,取得した蛍光像コントラストを用いて適応診断の確度を評価する.