A03-6生きた細胞や組織における散乱・揺らぎ計測と制御
松田 厚志 情報通信研究機構 未来ICT研究所 研究マネージャー
研究分担者
坂本 丞 生命創成探究センター 特任研究員
友井 拓実 宇都宮大学 工学部 博士研究員
亀井 保博 自然科学研究機構 基礎生物学研究所 RMC教授
生きた細胞や組織は特に強く複雑に光を散乱させることが知られています。しかしながら、微細な細胞構造や複雑な組織などによる光の散乱に関して、光学と生命科学が一体となった包括的な研究は未だに存在しません。本計画研究では、領域に所属する光学・数理科学・情報科学・天文学の研究者と共同で、生体構造における微細な光の散乱を詳細に計測し、散乱の根源となる生体構造を解明するとともに、生体における散乱をモデル化します。このモデルに基づき、散乱を抑制する光波を合成して生組織深部に入射する、生組織を通過して乱れた光を補正するなどの研究によって、生組織深部を透視します。さらに、散乱の根源となる生体構造の情報をもとに、散乱の少ない生物を遺伝子操作により作出し、生物学的に光学特性を向上させる研究を行います。以上の研究により達成される生細胞・生組織深部の透視によって、生きた植物(主にヒメツリガネゴケ)、動物(主にミナミメダカ)、繊毛を持つ微生物(主にテトラヒメナ)の細胞核における染色質動態を、超解像法も駆使しつつ解明します。