A02-4散乱理論・散乱イメージング理論の構築



木村 建次郎 神戸大学 数理・データサイエンスセンター 教授


研究協力者
木村 憲明  Integral Geometry Science社 代表取締役CEO 工学博士
美馬 勇輝  Integral Geometry Science社 上級主幹研究員 理学博士

 本研究では、物体表面で得られる観測結果から物体内部の構造を、多次元散乱場に関する偏微分方程式を逆解析することにより断層映像化する新しいイメージングの数理を開拓する。多次元散乱場とは、物体内部に向けた波動が、物体内部にて散乱し、物体表面にてその応答を観測した場合に、それらを空間の内部全体へ拡張し、波動を与える送信点の座標と、散乱波動を計測する受信点の座標、時間を含めた独立変数によって表現される多次元の場として定義する。本研究の核となる、映像化のための理論では、この多次元散乱場に関する方程式を、双曲型の偏微分方程式として導き、表面での観測結果を境界値として解析的に解き、一意性を持つ断層映像を再構成する。本研究の推進により、電磁波を用いた散乱トモグラフィ法をはじめとして、電子波散乱トモグラフィ、弾性波散乱トモグラフィなど、多彩な3次元構造イメージング技術が開発され、“物体内を多彩な物理量によって断層的に診る眼“により、材料科学、デバイス科学、医学、生物学、建築学、土木工学など様々な分野における構造と機能に関する理解に革新がもたらされる。

キックオフシンポジウム録画

散乱理論・散乱イメージング理論の構築゙