HSCN - ひょうごサイエンス・クロスオーバーネット

クロスネットは、誰もが科学や科学者を身近な存在として感じ、科学の成果や知識を楽しんでいただける新しいコミュニケーションの場です。

これまでの取り組み

クロスネットの2008年度外部評価報告がまとまりました。

ひょうごサイエンス・クロスオーバーネット(PDFファイルをダウンロード (152KB))
2008年度 外部評価

 

(1)全体的評価
立ち上げ初年度の活動としては、組織としくみ作りに取り組みながらも従来の蓄積を活 かして積極的な対外活動を展開しており、高く評価できる。とりわけ、総合大学としての 社会貢献という観点から見て、本事業は今後のモデルケースとなる可能性を持っており、 将来が期待される。既に展開している事業も含め、本事業によって生まれるネットワーク の活動が「安定的に継続されること」をめざして、今後を見据えた人的・財政的基盤を固 めることが次年度の課題と考えられる。

(2)今後の展開における課題とそれに関する助言等
<全体に関する助言>
・ ネットワーク構築という本事業の趣旨を踏まえて、多様な市民の中から、科学技術理解増進、科学技術コミュニケーションに関わるさまざまな主体や活動をつなぐ人の発見・育成・自立化を重要課題として取り組むべきである。
・ ネットワークの形成・発展に向けて、コミュニケーションの場を大事にしてほしい。クロスネット協議会や、ひょうごサイエンスフォーラム、共生のひろばなどの多様な活動を相互に認知し、支援するといった有機的関係づけも重要であると思われる。
・ 市民の科学に関わる諸活動に対して、大学の知と資源(場所、人など)を開放し、提供する体制をつくることを目指してほしい。特に、サイエンスショップに期待する。

<継続のための工夫について>
・ 資金面や神戸大学内の体制などを含めて、活動の継続化に向けた仕組みを是非考えてほしい。これと関連して、マニュアル化、キット化できるものは可能なかぎり行っておくことも重要である。
・ 神戸大学を含めた学生、大学院生の、諸活動への参画を促進することは、本活動の将来にとって重要である。

<個別の課題についての助言>
・ このような事業を推進するにあたっては、地域の厚みをもった人材が存在する初等・中等教育の部門を視野に入れることが重要であり、地域ネットワーク支援事業においては、学校教育に関わる取組は対象外であることは考慮しつつも、この分野の人材との連携を図り、活動を進めることは重要であると考えられる。
・ 学内を含め、広く社会的に認知されることを目指した広報は、このプロジェクトにとって生命線であるともいえる。従来のメディアに加えて、インターネットの活用も必要である。
・ 次年度に向けて検討が進められている電子ジャーナルに関しては、市民科学的な発想のもとでの非常にユニークな試みで、是非成功させてほしい。例えば、科学の「主流」の中で見過ごされている領域について、市民からの成果を拾い上げて蓄積、公表するといった視点も考えられる。掲載する論文などについて、一定の品質管理は必要であるが、他方で、多様性や自由な発想といった観点とのバランスも重要であり、スタート時点から高い基準を設定することは必ずしも得策ではないと考えられる。

<神戸大学全体としての取り組みの必要性>
・ 大学の機能は、伝統的には教育、研究であったが、近年はさらに社会貢献の重要性が指摘されている。本プロジェクトは、大学の社会貢献という機能を果たす上で、大変ふさわしいものであり、大学全体として取り組むべき価値のあるものと考える。とりわけ、大学の知と資源を社会に開くということが求められる現代において、大学全体で本プロジェクトに継続的に取り組むことを検討してほしい。そのためには、学内の認知を高めるとともに、大学執行部のサポートが重要であり、また資金面でのサポートも検討されたい。

以上

外部評価委員

小林 傳司 (大阪大学コミュニケーションデザイン・センター 教授) 委員長
佐藤 文隆 (甲南大学 特別客員教授)
道盛 正樹 (NPO法人 大阪自然史センター 理事)
安田 雪 (関西大学 社会学部 教授)